2014/07/09
奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大、学長:小笠原直毅)は、公開講座2014「先端バイオで何がわかる?何ができる?」を開催いたします。
近 年、科学技術の急速な進歩により、生物の体がどのようにつくられ働くのか、また、環境の変化や外敵に対して生物がどのように自己を守るのか、詳細な仕組み が解き明かされつつあります。本公開講座では、動物、植物、微生物に関する最先端のバイオサイエンス研究でどのような発見があったのか、また、その発見が 我々の生活をどのように変えてゆくのかについてわかりやすく解説します。
つきましては、取材方よろしくお願いいたします。
また、別添のとおり開催概要をお送りいたしますので、併せて記事掲載方よろしくお願いいたします。
【日 時】 平成26年10月4日(土)、10月11日(土)、10月18日(土)、10月25日(土)
13時45分~16時30分
【場 所】 奈良先端科学技術大学院大学内 ミレニアムホール
(奈良県生駒市高山町8916-5、けいはんな学研都市)
【定 員】 400名(申込順)
【参加資格】 どなたでもご参加いただけます(要申込)。
【受 講 料】 無料
【申込方法】 本学ホームページからお申し込みください。
【申込締切】 平成26年9月8日(月)[必着]
【問い合わせ先・公開講座担当窓口】
国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
教育研究支援部 企画総務課 広報渉外係
〒630-0192 奈良県生駒市高山町8916-5(けいはんな学研都市)
TEL : 0743-72-5112 FAX : 0743-72-5011
E-mail : [email protected]
【奈良先端科学技術大学院大学 ホームページ】
URL : http://www.naist.jp/
【プログラム】
10月4日(土)
13:45~15:00
植物成長制御研究室 梅田 正明(うめだ まさあき)教授
◆講演題目 植物が行うDNAの倍々ゲーム
◆ 講義内容 生物は受精により父と母からDNAを受け継ぎ、1 + 1 = 2のDNA量(2nと呼びます)をもっています。しかし、多くの植物はさらに高いDNA量をもっており、これが器官を大きくするのに役立っています。一方 で、バイオマス原料となる樹木の多くは2nのDNA量しかもっていないことが知られています。本講座では、植物でDNA量が増える、あるいは増えない仕組 みについて、一体何がわかっていて何がわかっていないのか、最新の研究成果を紹介しながら解説します。
15:15~16:30
植物免疫学研究室 西條 雄介(さいじょう ゆうすけ)准教授
◆講演題目 植物の免疫と環境:植物と微生物のせめぎ合いを遺伝子から探る
◆ 講義内容 植物は、細菌やカビなどの病原菌の侵入を素早く察知して自らを守る優れた免疫システムを持ちながら、体表や体内に無数の微生物をかこって「持ち つ持たれつ」の関係を築いていることがわかってきました。植物の免疫センサーが働く仕組みや微生物が取るさまざまな感染戦略について最先端の研究知見を解 説するとともに、植物と微生物の巧妙な相互作用を食糧問題・環境問題の解決に生かそうとする取り組みについても紹介します。
10月11日(土)
13:45~15:00
分子医学細胞生物学研究室 末次 志郎(すえつぐ しろう)教授
◆講演題目 柔らかな脂質膜から細胞が形作られる仕組み
◆ 講義内容 細胞は、内部や表面に様々な機能に特化した区画を持っています。この区画は、「膜」によって形成されます。細胞の持つ膜は、膜を形成することの 出来る特別な脂質分子により構成されます。細胞を自動車に例えると、これらの膜で出来た区画は、自動車のさまざまなモジュール(エンジンなど)に相当しま す。ところが、脂質分子から構成される膜は自動車を構成する鉄などとは異なり、定まった形態を持つことができません。本講座では、脂質分子が特定の形態を 形成する仕組みを概説します。
15:15~16:30
植物発生シグナル研究室 中島 敬二(なかじま けいじ)教授
◆講演題目 植物が創る模様のはなし:美しいパターンを作る精巧なメカニズム
◆ 講義内容 今から350年前、フックはコルクを顕微鏡で観察し、無数の小部屋で出来たパターンをスケッチしました。細胞発見のエピソードです。この時フッ クが見たのはコルク、つまり樹皮を作る細胞のパターンです。私たちが普段目にする植物も、実に美しい様々な細胞パターンを作ります。本講座では、植物の細 胞パターンが作られるしくみと、それが植物や私たちの生命に果たす役割について、最先端の研究を交えながらお話します。
10月18日(土)
13:45~15:00
遺伝子発現制御研究室 別所 康全(べっしょ やすまさ)教授
◆講演題目 生物リズム
◆ 講義内容 心臓の拍動、1日のリズムなど、生物はさまざまな周期の"リズム"を持っています。そして、その一つが生物の発生過程で働き、からだの形づくり に利用されています。本講座ではサカナ、トリ、ネズミやヒトなど、せきつい動物の美しい骨格が、胎児期に発生する生物リズムを利用して作り出されるメカニ ズムを紹介します。
15:15~16:30
機能ゲノム医学研究室 石田 靖雅(いしだ やすまさ)准教授
◆講演題目 癌・免疫療法の新展開
◆ 講義内容 私たちの免疫系は、外来性の侵入者を常に監視していますが、エイズや肝炎などの慢性ウイルス感染症では、ウイルスが免疫細胞を巧みに欺き、体内 に永続的に居座ります。一部の癌細胞は、これらのウイルスと全く同じ方法で、キラー細胞からのアタックを免れていることがわかりました。本講座では、キ ラー細胞上のPD-1という分子を標的にした免疫療法が、癌治療に非常に有効であることを紹介します。
10月25日(土)
13:45~15:00
分子免疫制御研究室 河合 太郎(かわい たろう)准教授
◆講演題目 免疫:病原体から体を守る生体防御システム
◆ 講義内容 免疫はウイルス、細菌、寄生虫といった病原体の感染から身を守る為の生体防御システムです。本講座では、私達の体がどのようにして病原体の侵入 を感知し、攻撃し、最終的に排除するのか、そのメカニズムを紹介します。中でも、2011年ノーベル生理学・医学賞に輝いた「自然免疫」と呼ばれる免疫シ ステムについて詳しく紹介します。
15:15~16:30
膜分子複合機能学研究室 塚﨑 智也(つかざき ともや)准教授
◆講演題目 タンパク質のかたちを知るということ
◆ 講義内容 人などの生命体の主な構成要素には、水・脂肪・タンパク質などがあります。タンパク質はDNAに刻まれた遺伝子の情報を基につくられ、生体内の あらゆるところで働いています。そのタンパク質分子の一つ一つは非常に小さく、光学顕微鏡では見ることができません。本講座では、X線結晶構造解析という 手法によりタンパク質のかたちをみる方法を紹介し、「かたちが分かれば、なにが分かるのか」ということを、最近の研究成果を交えて紹介します。