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夜遅くまで議論を重ね、研究に没頭した学生生活
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大浦 真歩Oura Maho
日本電気硝子株式会社・研究開発本部・研究部
2021年度博士前期課程修了
物質創成科学領域 ナノ高分子材料研究室
私は、特殊ガラスメーカーである日本電気硝子株式会社で、廃棄物をガラス原料として利用することを目指して研究を行っています。一般的なガラス原料は鉱物や砂などの天然資源です。これら貴重な資源の使用量を減らし、人間社会から排出される廃棄物を使用することによって、地球環境の保全に少しでも貢献したいと考えています。
地球環境の保全に興味を持ったきっかけは、大学時代に行った環境保護のボランティア活動です。私は幼少期から動物が大好きで、大学では野生動物に関わりたいと思っていました。活動を通じて、多くの動物が人間に住む場所を奪われていることを知り、自然を護ることの大切さを学びました。
奈良先端大では、環境保護に関わる研究をしたいと思い、網代先生のもとで、高分子ハイドロゲルを利用した空気から水を造る研究に注力し、水不足の解消を目指しました。書籍や文献を読み漁り、先生と夜遅くまで議論を重ね、研究に没頭しました。ゼロからのスタートだったので、多くの苦労がありましたが、網代先生の手厚いサポートもあり、論文としてまとめることができたことは研究者としての自信になりました。
充実した研究活動に加え、短期海外研修の経験もさせていただきました。奈良先端大はグローバル人材の育成にも力を入れており、その一環として、ドイツの大学で開催されたsummer schoolに参加しました。2週間という短い期間でしたが、他国の学生と講義を受け、共に学び、日本と海外との違いに驚愕したことを今でも鮮明に覚えています。入社後の海外出張時にもこの経験は活かされています。
私は、動物好きをきっかけに、奈良先端大での研究活動と海外経験を活かし、環境保全を目指して原料に関わる仕事に取り組んでいます。一見関係なさそうなことでも、不思議と繋がっています。学生のみなさんには、最初のきっかけは何であれ、まずは行動してほしいと思います。その経験があなたの人生の糧になり、活きるときが必ず訪れます。
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ガラス溶融の様子。時にはこのような高温作業も行います。