
万博出展技術を紹介!
酵母で叶える健康と美味しさ
酵母の研究を通して有用物質の生産や発酵・醸造食品の開発を目指す発酵科学研究室・髙木博史特任教授
けいはんな万博 ウェルビーイングフェスティバル 6月13日(金)~6月14日(土)

自然界に広く存在し、モデル生物および産業微生物として重要な「酵母」の研究によって、新たな発酵・醸造食品の開発を目指している髙木博史特任教授の発酵科学研究室。これまでに、様々な酵母の有用機能を向上させることで、バナナの香り漂う泡盛(沖縄の焼酎)、肝臓に優しいオルニチンを多く含む清酒、バラの香りのエールビールなど、研究シーズの社会実装を数多く行ってきた髙木教授が、けいはんな万博に二つの成果を出展します。
一つ目は、奈良先端大の池の周りで採取した「NAIST酵母」を使用した「健康系クラフトビール」についての出展です。「NAIST酵母」は麦汁中のアミノ酸をあまり取り込まないため、リラックス効果や血圧降下が期待できるアミノ酸のGABAが多く含まれたクラフトビールを醸造することが可能。この酵母を用いて、テンフィールズファクトリー株式会社が商品化したクラフトビール「めっちゃGABA」が既に同社のレストラン(梅田)で販売されています。今回新たに、アルコール性疲労の回復や肝機能の促進が期待できるアミノ酸のオルニチンを多く産生するNAIST酵母を育種。けいはんな万博での試飲を目指し、GABAだけでなくオルニチンも多く含むクラフトビールの商品化に向けて同社と共同研究を進めています。
二つ目は、サラヤ株式会社・丹後フーズ株式会社と共同研究を始めている「イーストミート(酵母肉)」についての出展です。現在、世界的に深刻な食糧危機や環境負荷を解決する手段として、食肉に代わるタンパク質(代替タンパク質)が注目されています。その代表的なものが大豆ミートですが、風味や食感を本物の食肉にいかに近づけるかが課題です。そこで、大豆ミートに酵母を加えたソーセージやハンバーグを試作したところ、大豆ミートの欠点を解消できる可能性を発見。現在、肉の美味しさや栄養・健康に寄与する成分を多く産生する酵母の開発を目指しています。
酵母の有用機能を活用することで、発酵・醸造のイノベーションを目指す髙木特任教授。「未来の食」につながる成果をぜひ会場でご覧ください。